《スカラベの神》サイクルの、戻る能力の誘発忘れ
2018年2月10日 ルール考察 コメント (2)触れたら負け…ではなく、むしろ触れないと負けな気がしたので、つらつらと書いていきます。察して
あと、誰かへのあてつけではないです。保身でもないです。ただ自分の勉強として解説したくなっただけですので、よろしくお願いします。
毎度のことですが、その辺の人でしかない私がルールを読みといたらこうなった以上でも以下でもないので、大会ではヘッドジャッジの言うことを聞いてくださいね。
基本的にはREL競技以上の話です。一般についてはあとで少し触れます。
さてさて、《スカラベの神》のサイクルには、以下の能力が書いてあります。
この能力は、誘発型能力です。
誘発型能力は、[誘発条件orイベント],[効果]という形で書かれています。
誘発条件は「スカラベの神が死亡したとき」、
効果は「次の終了ステップの開始時に~戻す」ですね。
誘発条件を満たした誘発型能力は(色々経て)スタックに乗り、解決時に効果に書いてあることを行います。
この「次の終了ステップの開始時に~戻す」という能力は、それの解決時に何かをするのではなく、後で何かをする誘発型能力です。したがって、これは遅延誘発型能力です。
遅延誘発型能力は、解決時より後に誘発する能力を「予約」します。
「次の~戻す」が解決されると、「次の終了ステップの開始時」に誘発する能力が予約されます。
実際に「次の終了ステップの開始時」を迎えると、「これをオーナーの手札に戻す」能力が誘発し、スタックに置かれます。
これが解決されてはじめて、スカラベの神が手札に戻るわけですね。
さて、スカラベの神をコントロールしていたプレイヤーが、不幸にもこの誘発型能力を忘れてしまったとします。
と言っても、「この誘発型能力」は実は2つありますね。
まず、「スカラベの神が死亡したとき」の能力です。これは、遅延誘発型能力を作るだけの誘発型能力なので、示されることなく自動的に解決されます。
問題なのは、遅延誘発型能力を忘れてしまった場合です。
誘発型能力を忘れてしまった場合、まずジャッジが検討するのは「忘れたことになるかどうか」です。
「忘れたことになるかどうか」は、次の条件にあてはまるかどうかで決まります。
具体例を挙げましょう。
(Aのメインフェイズに、スカラベの神が死亡した。)
A「じゃあエンド」
N「選択を唱えます」
A「解決どうぞ」
(選択を解決)
A「それじゃあ、スカラベの神が手札に戻ります」
N「あれ、さっき言わなかったよね。ジャッジ!」
この場合は、能力は忘れられたことにならず、まだスタックに能力があり得ると判断されるでしょう。
次の場合はどうなるでしょうか。
(Aのメインフェイズに、スカラベの神が死亡した。)
A「じゃあエンド」
N「ターン入ります」
A「はい」
N「アンタップ、アップキープ、ドロー」
A「しまった、スカラベの神が死亡していた。ジャッジ!」
この場合、"Aが誘発を示すタイミングがあったにもかかわらず"、"その誘発型能力の解決されるべきタイミングより後でしか行えないゲームの処理を行った"ので、その誘発型能力は忘れられたことになります。
もう一つ例を挙げます。
(Aのメインフェイズに、スカラベの神が死亡した。)
A「じゃあエンド。エンド時に…」
N「エンドですか。ターン入りますね。ドロー」
A「ちょっと待ってよ。スカラベの神がいるのに。ジャッジ!」
この場合、Aが誘発を示すタイミングをNがすっ飛ばしてしまったので、誘発を忘れたことにはならないでしょう。
さて、忘れられた誘発型能力は、その効果と、いつ忘れられたかによってどう扱われるかが決まります。
特に、以下の3種類の能力は、特別な取り扱いが定められています。
スカラベの神の遅延誘発型能力は、墓地から手札へとスカラベの神を戻そうとします。
これはまさしく、「その能力が生成された時に定義されたオブジェクトの領域変更を伴う遅延誘発型能力」に他なりません。
したがって、スカラベの神を墓地から手札へ戻し忘れた場合、それが起こってからどれだけ時間が経っていても、「対戦相手がその能力を次にプレイヤーが優先権を得るときに解決するか、次のフェイズの開始時にプレイヤーが優先権を得るときに解決するかを選ぶ」ことになります。(原文でも"resolves"になっていたので、スタックに乗るわけではないようです)
もっとざっくり言うなら、どれだけ経っていても何があっても、(スカラベの神が墓地にいれば)絶対に戻ります。
この話を調べる過程で、MTG質問箱のこんな質問と解答を見つけました。
よく読むと、質問では「誘発を忘れた場合、"それ以降の終了ステップに戻るか"」と聞いています。
それに対して、「もう誘発しない」と答えています。「誘発しない」のであって、「戻せない」と答えているのわけではないのですね。
確かに、これまで書いてきた内容(というよりIPG2.1)に従えば、忘れられた誘発は再度誘発するわけではありません。単に(忘れられたかどうかを調べて忘れられたなら、)忘れられたときの扱いに従うのみでしょう。
ここまで、REL競技以上の話をしていました。一般ではどうでしょう。
一般イベントでの誘発忘れの扱いについては、次のように書かれています。
以上長々と考察しました。
繰り返しますが、大会ではその大会のヘッドジャッジの裁定が、ルールより優先されます。
私が長々と書いたことが間違ってるかもしれませんので、悪しからず。
それでは~
あと、誰かへのあてつけではないです。保身でもないです。ただ自分の勉強として解説したくなっただけですので、よろしくお願いします。
毎度のことですが、その辺の人でしかない私がルールを読みといたらこうなった以上でも以下でもないので、大会ではヘッドジャッジの言うことを聞いてくださいね。
基本的にはREL競技以上の話です。一般についてはあとで少し触れます。
さてさて、《スカラベの神》のサイクルには、以下の能力が書いてあります。
スカラベの神が死亡したとき、次の終了ステップの開始時に、これをオーナーの手札に戻す。これを詳しく分解していきます。
この能力は、誘発型能力です。
誘発型能力は、[誘発条件orイベント],[効果]という形で書かれています。
誘発条件は「スカラベの神が死亡したとき」、
効果は「次の終了ステップの開始時に~戻す」ですね。
誘発条件を満たした誘発型能力は(色々経て)スタックに乗り、解決時に効果に書いてあることを行います。
この「次の終了ステップの開始時に~戻す」という能力は、それの解決時に何かをするのではなく、後で何かをする誘発型能力です。したがって、これは遅延誘発型能力です。
遅延誘発型能力は、解決時より後に誘発する能力を「予約」します。
「次の~戻す」が解決されると、「次の終了ステップの開始時」に誘発する能力が予約されます。
実際に「次の終了ステップの開始時」を迎えると、「これをオーナーの手札に戻す」能力が誘発し、スタックに置かれます。
これが解決されてはじめて、スカラベの神が手札に戻るわけですね。
さて、スカラベの神をコントロールしていたプレイヤーが、不幸にもこの誘発型能力を忘れてしまったとします。
と言っても、「この誘発型能力」は実は2つありますね。
まず、「スカラベの神が死亡したとき」の能力です。これは、遅延誘発型能力を作るだけの誘発型能力なので、示されることなく自動的に解決されます。
遅延誘発型能力を作る以外の効果を持たない誘発型能力は、示される必要なく自動的に解決される。(IPG2.1)なので、これを忘れた場合は特に考えることはありません。
問題なのは、遅延誘発型能力を忘れてしまった場合です。
誘発型能力を忘れてしまった場合、まずジャッジが検討するのは「忘れたことになるかどうか」です。
「忘れたことになるかどうか」は、次の条件にあてはまるかどうかで決まります。
(略)ゲームの局面に視覚上わかる(ライフの総量を含む)変化を起こす、あるいは解決時に選択が必要になる誘発型能力:そのコントローラーは、(ソーサリー呪文を唱える、次のステップやフェイズで行われることを明示的に行ったなど)その誘発型能力の解決されるべきタイミングより後でしか行えないゲームの処理を行う前に、物理的処理を行うか、あるいはその特定の誘発を示さなければならない。ただし、優先権を放棄したり、インスタント・呪文を唱えたり、能力を起動したりした場合にも、誘発型能力はまだスタックの上にあり得るので忘れたことにはならない。(略)(IPG2.1)つまり、「次の終了ステップ」にインスタントタイミングの行動を行っていた場合は、まだその能力は忘れられていないものと判断されます。
具体例を挙げましょう。
(Aのメインフェイズに、スカラベの神が死亡した。)
A「じゃあエンド」
N「選択を唱えます」
A「解決どうぞ」
(選択を解決)
A「それじゃあ、スカラベの神が手札に戻ります」
N「あれ、さっき言わなかったよね。ジャッジ!」
この場合は、能力は忘れられたことにならず、まだスタックに能力があり得ると判断されるでしょう。
次の場合はどうなるでしょうか。
(Aのメインフェイズに、スカラベの神が死亡した。)
A「じゃあエンド」
N「ターン入ります」
A「はい」
N「アンタップ、アップキープ、ドロー」
A「しまった、スカラベの神が死亡していた。ジャッジ!」
この場合、"Aが誘発を示すタイミングがあったにもかかわらず"、"その誘発型能力の解決されるべきタイミングより後でしか行えないゲームの処理を行った"ので、その誘発型能力は忘れられたことになります。
もう一つ例を挙げます。
(Aのメインフェイズに、スカラベの神が死亡した。)
A「じゃあエンド。エンド時に…」
N「エンドですか。ターン入りますね。ドロー」
A「ちょっと待ってよ。スカラベの神がいるのに。ジャッジ!」
この場合、Aが誘発を示すタイミングをNがすっ飛ばしてしまったので、誘発を忘れたことにはならないでしょう。
(略)たとえば、プレイヤーが対戦相手に誘発型能力を示す機会を与えずに自分のドロー・ステップにカードを引いた場合にも、そのコントローラーはその時点で適切な義務を果たす機会がある。(略)(IPG2.1)
さて、忘れられた誘発型能力は、その効果と、いつ忘れられたかによってどう扱われるかが決まります。
特に、以下の3種類の能力は、特別な取り扱いが定められています。
以下の3種類の能力は本来誘発すべき時点からどれだけ時間が経っていようとも、発見された時点ですぐ解決される。(編注:強調は編集)(この後に、これらに当てはまらない能力の扱いが書かれていますが、今回は割愛します。)
・誘発型能力のコントローラーによって行われる選択に、選択しなかった場合の処理(「~しないかぎり」「そうでなければ」)が定められているもの。対戦相手は忘れられた誘発型能力を解決しないことを選択できるが、そうしなかった場合はその処理を解決する。
・オーラが戦場に出たことによる誘発型能力のうち、つけられたパーマネントにのみ効果を発揮する、視覚的な影響を伴うもの。
・その誘発型能力がその能力が生成された時に定義されたオブジェクトの領域変更を伴う遅延誘発型能力。この種の能力については、対戦相手がその能力を次にプレイヤーが優先権を得るときに解決するか、次のフェイズの開始時にプレイヤーが優先権を得るときに解決するかを選ぶ。(IPG2.1)
スカラベの神の遅延誘発型能力は、墓地から手札へとスカラベの神を戻そうとします。
これはまさしく、「その能力が生成された時に定義されたオブジェクトの領域変更を伴う遅延誘発型能力」に他なりません。
したがって、スカラベの神を墓地から手札へ戻し忘れた場合、それが起こってからどれだけ時間が経っていても、「対戦相手がその能力を次にプレイヤーが優先権を得るときに解決するか、次のフェイズの開始時にプレイヤーが優先権を得るときに解決するかを選ぶ」ことになります。(原文でも"resolves"になっていたので、スタックに乗るわけではないようです)
もっとざっくり言うなら、どれだけ経っていても何があっても、(スカラベの神が墓地にいれば)絶対に戻ります。
この話を調べる過程で、MTG質問箱のこんな質問と解答を見つけました。
https://twitter.com/DaDastranger/status/921365847272169472一見、「スカラベの神の遅延誘発を忘れたら、もう戻せない」とも読めそうです。どういうことでしょう。
@testing_box
お願いします!
スカラベの神の「スカラベの神が死亡した時、次の終了ステップの開始時に、これをオーナーの手札に戻す」の誘発型能力は、死亡した次の終了ステップの開始時で、誘発を忘れた場合、それ以降の終了ステップにて、墓地から手札に戻すことはできますか?
https://twitter.com/testing_box/status/921377757065445376
. @DaDastranger いいえ。もう誘発型能力は誘発しません。ゲームの手順を誤っているので、ジャッジをお呼びください。
よく読むと、質問では「誘発を忘れた場合、"それ以降の終了ステップに戻るか"」と聞いています。
それに対して、「もう誘発しない」と答えています。「誘発しない」のであって、「戻せない」と答えているのわけではないのですね。
確かに、これまで書いてきた内容(というよりIPG2.1)に従えば、忘れられた誘発は再度誘発するわけではありません。単に(忘れられたかどうかを調べて忘れられたなら、)忘れられたときの扱いに従うのみでしょう。
ここまで、REL競技以上の話をしていました。一般ではどうでしょう。
一般イベントでの誘発忘れの扱いについては、次のように書かれています。
プレイヤーが誘発型能力(「~たび」「~とき」「~開始時に」から始まる文章で書かれた能力)を忘れた。よく分かりませんが、ジャッジの判断でスタックに置かれるか置かれないか決まる、ということのようです。
これらの能力は、それが本来起こっているはずの時点でプレイヤーがその存在を示さなかった場合に、忘れられたものとして扱われます。この能力に「~してもよい」という語が含まれていた場合、そのプレイヤーはその行動をしないことを選んだものとして扱われます。そうでなければ、その誘発を即座にスタックに置くことがあまりにも悪影響を及ぼすかどうか判断してください。発生していない効果に基づいて何らかの決定が成されていた場合には、その能力をスタックに置かないでください! 他の不正な処理は必ず指摘しなければなりませんが、対戦相手が誘発型能力を忘れていることに関しては、指摘してあげることを推奨すべきですが、指摘するかどうかプレイヤーが選ぶことが出来ます。
以上長々と考察しました。
繰り返しますが、大会ではその大会のヘッドジャッジの裁定が、ルールより優先されます。
私が長々と書いたことが間違ってるかもしれませんので、悪しからず。
それでは~
コメント
ありがとうございます。
自身の勉強のためでしたが、他の方にも喜んでいただけたなら幸いです。