早くもその3です。今回はいよいよわからない手強い質問でした。

なお、先立ってお願いです。
過去にMTG質問箱さん(やその他同様のパブリックな回答者)に質問されていた質問については、バリエーションを答えて欲しい場合も含め、ひとこと「過去に(URL)という質問が有りましたが」などと付け加えていただき、さらに不明点を挙げていただけると答えやすいです。
私は(コーナーケースなら)何でも答えますが、回答が結局単なる焼き直しになってしまう恐れがあります。
また、回答が異なる場合、その辺のごろつきであるRMMよりMTG質問箱さんの方が信用できるし~で済んでしまいますから、質問者さんにも満足いただけないかと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

※個人的な見解です。公式性はありません。
※大会ではヘッドジャッジの裁定に従ってください。



《未来予知》をコントロールしているAPが《空虚自身》を唱え自身の手札にある《荒廃鋼の巨像》三枚を捨てました。このとき《空虚自身》の解決中に複数回(今回は三回)のシャッフルが行われると考えていますが、
・(便宜的にABC分けします)巨像Aのシャッフルが行われている間、巨像B、巨像Cはどの領域に存在しますか?それともすべて同時にライブラリーに戻りますか?
・一回目のシャッフルと二回目のシャッフルの間に《未来予知》の常在型能力によってライブラリートップを確認できますか?


手札が《荒廃鋼の巨像》3枚だけだとして、《空虚自身》の解決は、次のように置換されます。
「手札をすべて捨てる」→「{手札の《荒廃鋼の巨像》を公開し、ライブラリーに切り混ぜる}×3」
このとき、当初の「手札をすべて捨てる」というイベントによって、3枚のカードは同時に墓地に置かれようとします。その各々のカードについて、置換効果が適用されるため、3つの置換効果による結果が同時に発生します。
このとき、置換効果の相互作用は考慮しません。なぜなら、
616.1. 複数の置換・軽減効果がいずれかのオブジェクトやプレイヤーに影響を及ぼす単一のイベントを修整しようとした場合(後略)

とあるためです。各々のカードの移動を置換している置換効果は1つずつですね。

さて、その置換効果を適用する際に《巨像》ABCがどこにいるか、という質問でしたが、以下のルールを見てください。
701.19f 複数の効果によって同時にライブラリーを複数回切り直す場合、ライブラリーを切り直すことによって誘発する能力はその回数だけ誘発する。

つまり、同時に複数回ライブラリーを切り直す場合についてCRに書いてあるわけです。
これを逆に読むと(あまり逆に読むのはほめられたことではありませんが)、《巨像》ABCは全く同時にライブラリーに行ってしまうのではないでしょうか。
つまり、たとえば《巨像》Aから適用し始めるよ、と言ったとして、残りのBCについても適用が始まっているのでしょう。
平たく言うと、3枚一度に公開して3回切り混ぜます。

ところで、これらの出来事を《未来予知》から見たときどうなるかというと、《未来予知》の常在型能力がトップを追いかけるとき、そのトップが変わったかどうかによって、イベントが分割され得ます。
つまり、シャッフルを(たとえ同時にでも)複数回行うとき、その回数分のライブラリートップの変更があるわけです。ですから、《未来予知》から見たこのイベントは、ライブラリートップが変わったところでゲームの状況を取得することができます。結論としては、新たに3回ライブラリートップを公開することになるでしょう。


クリーチャータイプが「戦士・同盟者」であるとして生成されたトークンと「同盟者・戦士」であるとして生成トークンはそれぞれ同名のクリーチャーとして扱われますか?それとも別名のクリーチャーとして扱われますか?
(戦場でのクリーチャータイプではなく生成した能力に記載されたクリーチャーの話です)
(生成方法としては人工進化など)


サブタイプの順番についてCRには記載を見つけられなかったため、同一のサブタイプを持っているならば、同一の名前を持つと考えられるでしょう。
110.5c トークンを生成する呪文や能力が、そのトークンのカード名とサブタイプを定める。特に書かれていない限り、トークンのカード名は、そのサブタイプと同じである。例えば、ゴブリン・スカウト・クリーチャー・トークンはゴブリン・スカウトというカード名であり、クリーチャー・タイプはゴブリンとスカウトの二つとなる。トークンが戦場に出た後では、カード名が変わってもサブタイプは変わらない。その逆も同じである。


(ちなみに、以前にMTG質問箱さんがこの質問を取り上げた際に、JNRの裁定が書き込まれていたスレッドがリプライされていましたが、個人的には2004年のルールは古いです。前回の《閃光》も2000年のNetRep回答と今回のJNR回答が異なりました。)


未来予知をコントロールしているAPが偏った幸運を唱えました。対象となった対戦相手が呪文の解決の際、デッキトップに公開されていたカードを裏向きの束の中に分けたのか表向きの束の中に分けたのかを、APがそれぞれCR的、物理的に判別できますか?


《偏った幸運》のテキストは次のとおりです。
対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーはあなたのライブラリーの一番上からカードを4枚見て、それらを裏向きの束1つと表向きの束1つに分ける。一方の束をあなたの手札に加え、もう一方をあなたの墓地に置く。

Target opponent looks at the top four cards of your library and separates them into a face-down pile and a face-up pile. Put one pile into your hand and the other into your graveyard.


オラクルを見ていただければ分かる通り、「見る/look」のあとに"裏向きの"束と表向きの束にseparateすると書いてあります。
まず、ライブラリーを見る間も、《未来予知》による公開は続いています(ご存知の?とおりです)。
次に、見ているカードを並べ替えないまま、かつ1枚だけ表向きのまま、どの束に分けるかを考えます。
そして、見ていたカードが(向きを保ったまま)裏向きおよび表向きの束に分けられます。
このとき、裏向きの束にライブラリートップが含まれていた場合、それは論理的には表向きの瞬間がありません。これは何故かと言うと、カードの指示が「裏向きにする」と書いているため、「公開する」を上書きするためです。(でないと、この呪文を正しく解決することができません。)
物理的には、表向きのまま分けられたカードを裏返す手順が入るため、それを注視していれば見ることができるでしょう。

表向きの束に分けた場合は、単にライブラリートップがそちらの束に行っているだけです。物理的にも、見れば分かるのでそのままです。


以前に複数の場所にて、テキスト上で「and」で繋がれた前後の指示文章は同時に行われるイベントである旨を見かけました。
ですが耕作などのテキスト(この場合はputの前に挿入されているand)を見ると、andの処理を同時ではなく前後の順序を正しく行わなければ正常な挙動が発生しないように思えます。
この問題について、RMM様の見解をお聞きしたく質問いたしました。お力添えいただければ幸いです。


この話は、今ジャッジコミュニティで議論中です。"and"が順序的なのか同時なのか、場合によって違うような回答が出ており、"and"そのものについての議論は進行中です。
例示すると、
《運命のきずな》を諜報2で1枚だけ落とした。どうなる?
→諜報の処理は全く同時に行われる。残りの1枚はライブラリートップに行く。

《虚報活動》のETBに対応して《気流の言葉》を起動した。ドローを置換して相手の《灰色熊》をバウンスした。相手は《灰色熊》を捨てられる?
→《虚報活動》のドローとディスカードは連続的である。相手はバウンスのあとに捨てるカードを決める。

APの《ゲトの裏切り者、カリタス》の影響下でNAPの《異端聖戦士、サリア》が死亡した。出てくるトークンはタップインする?
→《カリタス》の置換効果は複数の行動を伴う単一の置換効果である。《サリア》が死亡し追放されるが、トークンを出す段階では《サリア》はまだ戦場にいるためタップインする。

などなど。どの場合連続的でどの場合同時になるのかは、正直わかりません。


以上、いかがでしたでしょうか。不明点などは追加の質問かコメントお願いします。

コメント

nophoto
質問の名無し
2018年11月14日15:29

毎回丁寧な回答をいただき感謝の至りです。URLの件については承知いたしました、次回からはそのようにします。
トークンの問について追加の質問なのですが、
人口進化によってあるトークン生成能力のクリーチャータイプを「卵・ドラゴン/egg・dragon」と書き換えて生成した場合、それはドラゴンの卵/Dragon Egg((2)(赤) 0/2のクリーチャーカード)と同名のパーマネントとして扱われますか?

りょみたか
2018年11月14日15:45

ご配慮いただければ幸いです。
追加の質問ですが、本文での私の回答と同じロジックを用いるなら、同名のパーマネントとして扱われるでしょう。
ただ本文中にも書いた通り、CRにはサブタイプの順番について記述が(恐らく)ありませんので、確たることは言えません。

nophoto
質問の名無し
2018年11月14日16:43

なるほど、ありがとうございました

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