11/10にシーガル泉バイパス店において行われたPPTQにおいて、決勝ラウンドに臨んでいたプレイヤーに〔不十分な切り直し〕を2回出すこととなり、マッチがゲームの結果によらない決着となりました。


当該プレイヤー(A氏とします)からの当日の弁明・抗議に対して、またその後のSNSにおける言及があったとの報告を受け、裁定した者として立場を表明しなければならないと思い、この記事を作成することにしました。



・前提

当日は15人の参加者がおりました。ヘッドジャッジ(HJ)は私とは別のジャッジで、私はフロアジャッジ(FJ)でした。

朝のプレイヤーミーティングは、ミーティング専用の座席表に沿って着席してもらいました。普段の運営では第1ラウンドの座席に直接座ってもらい、対戦の準備を進めながらアナウンスを聞いてもらうようにしていましたが、今回はアナウンスに集中してもらえるように、との意図でした。

実際、プレイヤーミーティングの時点では、大会参加者以外に店舗で遊んでいる人はほぼおらず、参加者も少ないため話をしていたHJから十分近く、HJのアナウンスはよく聞こえていたと思います。

この朝のプレイヤーミーティングの時点で、HJから「シャッフルには気をつけてほしい、シャッフル不足によるペナルティもありうる、横入れ1回では全く不十分、十分な切り直しとは例えば4,5回の横入れシャッフルと数回のヒンズーである」とはっきりアナウンスしました。



・決勝で

決勝の2ゲーム目開始時、A氏のゲーム開始時のシャッフルが「(少し変則的な)ディール→集めて積んで2,3回ヒンズー」だったため、十分な切り直しでないとしてFJの私から〔不十分な切り直し〕による【警告】のペナルティを出しました。そのときの説明は、次のように行ったと記憶しています。

「通常のディールシャッフルとは違い多少変則的でしたが、ともかくディールシャッフルを行ったあとに数回上下を入れ替えただけでは十分な切り直しではありません。

あなたには、切り直しを十分に行わなかったことによる警告を出します。今日このあと、同じ警告をもう一度受けた場合、ゲームロスになってしまいます。十分に注意して切り直してください。

朝のプレイヤーミーティングでもお話したとおり、4,5回の横入れシャッフルと数回のヒンズーを行えば十分な切り直しになりますから、そのようにしてください。」

これについて、プレイヤーから上告がなかったため、FJの1次裁定が確定しました。



3ゲーム目の途中、A氏が《開花+華麗》の《開花》を唱え、サーチを行ったあと、横入れ1回と上下の入れ替えのみで対戦相手にデッキを提示したため、HJが介入しました。

HJは、横入れ1回と上下の入れ替えは明らかに切り直しが不十分であり、2回めの〔不十分な切り直し〕によるペナルティで、格上げで【ゲームの敗北】となることを伝えました。

これはHJ裁定のため、覆ることはありません。A氏の試合結果が確定してしまいました。



・A氏の主張

A氏は、過去の別のPPTQにおいて、その際のHJであった私から「シャッフルが長すぎます」と注意をされたため、シャッフルが長すぎないように留意していたこと、

また、1回めの〔不十分な切り直し〕についての説明が「ゲーム開始時のものについての注意だと受け取っていた」ということを我々に伝えました。

A氏が各種SNSで伝えているこの部分が、それを読まれた方にどう受け取られるかと考えたとき、私はこれが私にとって致命的なことになりうると考え、放置するより主張をすることを選びました。



当日、A氏にこれらのことについては説明しましたが、改めて何があったかをお伝えします。

・A氏の主張に対する説明

私が過去にA氏へ「シャッフルが長すぎる」と注意をしたことは事実です。あまりにも長い時間をかけていたため、不必要に長い時間をかける必要はないとの意図でした。そして、その後に行われたシャッフルがあまりにも短かったため、「それは流石にシャッフルしなさすぎです」とも言いました。このときは、私が「長過ぎる」とのみ注意した際にどれぐらいが適正かについて説明をしなかったため、私の説明に起因するものとして〔不十分な切り直し〕によるペナルティは出しませんでした。

その後、その大会では適正なシャッフルを行っていたと記憶しています。


A氏のSNSでは、長すぎたと注意されたことを念頭に、今大会では進行に協力するため時間をかけないシャッフルを行ったと主張しています。

そもそも、私の記憶が正しければ「長過ぎる」と注意されたあとに「あまりにも短い」と伝えたはずで、そこで短いシャッフルを私が正当化したという事実はありません。

そして、今大会のプレイヤーミーティングにおいて、適正なシャッフルがどのぐらいか、あるいは不十分なシャッフルがどれぐらいかについても、はっきりアナウンスしています。先程も書いたとおり、当日の環境はアナウンスを聞き取れない状況にはなく、少なくともプレイヤーに「伝えなかった」という事実はありません。

ただ、「少なくとも」と書いたとおり、HJの説明が効果的でなく、集中力を欠くような話し方であった可能性を否定するものではありません。その点については、我々が今後の課題として真摯に受け止めなければなりません。



次に、私の1回めの警告がゲーム開始時についてだと思ったという件について、A氏のSNSでは「齟齬があった」とのみあります。この点は当日A氏には同意してもらえなかったことですが、先程書いたとおり、私はゲーム開始時の切り直しに限定したものでない説明を行ったと認識しています。それが、A氏に対しては私の意図とは異なるように伝わったとすれば、私の説明が明瞭でなかったことになりますから、今後私はより明瞭な説明を心がける必要があるでしょう。心に留めておきます。

しかし、そもそも「ゲーム開始時のみよく切り直せ」と注意するというのは、裏を返せば「ゲーム中の切り直しはおざなりで構わないよ」と注意することになります。我々は、そのような注意は当然行いません。


これは建前に過ぎないと捉えられるかもしれませんが、そもそも競技イベントに出場するプレイヤーは、マジックイベント規定(MTR)を知っているものとして扱われます。MTR3.9-カードの切り直し に、以下のように明記されています。

ゲームの開始時や切り直すよう指示されたとき、デッキを無作為化しなければならない。無作為化とは、どのプレイヤーにもデッキの中の並びやカードの位置がまったく分からない状態にすることである。


当日、これを知っていることを前提とはしなかったからこそ、適正な時間で十分なシャッフルを行う方法、あるいはどれぐらいが不十分なシャッフルかについて例示を行ったのです。



・我々の手落ち

これまで、A氏の主張に対する私の主張を書き並べて来ました。

しかし、ここまでにも少し言及しましたが、我々にも手落ちがありました。


まず、A氏の問題があるシャッフルを決勝にたどり着くまでに発見できなかったこと。

A氏にもっと早く伝えることができれば、決勝でのゲームロスという、非常に苦い裁定になることはありませんでした。

15人の大会に対してレベル2ジャッジがふたりいて、マンパワーが足りなかったという言い訳はできません。

我々の観察力が不足していたために起こったことは、申し訳なく思います。


そして、話し方が効果的でなかったこと。

こちらが思っていたより、プレイヤーにしっかり伝えられるような話し方でなかったことは事実でしょう。

プレイヤーに聞いてもらえるような話し方、プレイヤーが明瞭に理解できる伝え方を今後気をつけなければなりません。



これが当日起こったことのすべてです。




・A氏のSNSに関しての問題

A氏のSNSには、「シャッフルが長すぎるといえば注意され、短くすればゲームロス」という内容で、同一のジャッジが"同じ日に"それを裁定したかのような書き方をされていました。

これまで書いたとおり、注意をしたのもペナルティを与えたのも事実ですが、それは同じ日ではありませんし、適正なシャッフルについても示しています。

SNSの文字数制限に起因するものだとしても、さも支離滅裂な裁定を行ったかのように発信することは、受け入れられるものではありません。




・A氏のSNSへの反応について

A氏のSNSの投稿へは、「ジャッジの私怨ではないか」「そのジャッジは支離滅裂」などと反応がありました。


「支離滅裂」については先程のとおりで、A氏の伝え方に起因する問題です。


「私怨」については、ここではっきりと否定します。A氏に恨み辛みは一切ありません。現在は衝突している状況ですが、だからといって、今後もA氏に対する裁定に影響することは全くありません。

我々は常に公平で、ルールに忠実な存在です。私怨に縛られて行動するほど、安直な人間ではありません。私にも矜持があります。


仮に私怨だったとして、わざわざ決勝まで進ませるか?ということです。

もちろん書きませんが、予選の段階で故意に追い落とす方法はいくらでもあります。当然、過去にも未来にも行うことはありませんが、思考実験として、方法は知っています。それを行わないことで、私怨ではないとするに足りるでしょう。




・最後に

翌日のPPTQで、A氏は権利を獲得されました。心よりお祝い申し上げます。形式的なものではなく、本当に心から思っています。

今大会においても、A氏は予選の狭き門を突破し、決勝の3本目までもつれる大熱戦を行ったわけで、A氏のプレイヤーとしての実力に疑いの余地はありません。

決勝でゲームロスの裁定を出すというのは、我々も本意ではありませんでした。しかし、公平でルールに忠実な存在でなければならない我々は、たとえ望まれない結果であっても、公平を取らなければならないことがあります。

我々は、今後も毅然と公平に対応してまいります。長文をお読みいただき、ありがとうございました。


MTG Lv2ジャッジ 大石 諭

コメント

オリヒカ
2018年11月13日23:44

裁定に関する疑惑・反論などがあった際、このような記事で解説いただけると大変ありがたいです。
「MTGのジャッジはしっかりしている、任せて大丈夫」という安心感を得られますし、自分が同じことをしないように気をつけるきっかけにもなります。

私がMTGに競技として打ち込めるのは、しっかりしたルールとそれを運用するジャッジの皆様のおかげです。
いつもありがとうございます。今後ともお世話になります。

りょみたか
2018年11月13日23:47

>オリヒカ さん
今回はイレギュラーです。SNSによって私の身の回りに事実を伝える必要があると感じたためです。
とはいえ、今後も公平なジャッジに努めることに変わりありません。

nophoto
通りすがり
2018年11月15日11:46

どちらの日記も見て思うことはこんなところで場外戦をするなってこと。
特にジャッジ側はイベント上の大きな権限を持っているだけになおさら。
イベントで問題があったのならSNS上のことも含めてS報告すれば良いだけだろうに双方が晒し上げるのはどうかと思う。

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